双極性障害について

 気分が上がって落ち着きがなく、怒りっぽかったり、イライラしたり、興奮している状態、いわゆるハイテンションの状態である躁(そう)の状態と、気分が落ち込んで、やる気がない状態である鬱(うつ)の状態が、ある期間をおいて入れ替わる精神疾患を『双極性障害』と言います。『躁うつ病』という言い方もあります。
 病気の原因としては、未だ不明な部分が多くはっきり分かっていませんが、心の病気ではなく、脳の病気であると考えられています。

 誰でも、気分がよい時と悪い時はあります。「昨日、プレゼントをもらったから、今日はとても幸せな気分で目が覚めた」とか、「明日は学校で苦手なテストがあるから気分が憂鬱だな」などということは、誰の生活の中でも起こることです。しかし、毎日いろいろなことが起こる生活の中で、同一の気分がずっと続くということは、実際にはあまり起こることではありません。
 ところが、双極性障害をお持ちの方の場合は、一定期間ずっと同じ状態が続きます。躁のときは、普段では考えられないような行動をとってしまい、多額の借金を作ってしまうなどということも実際に起こることがあるのです。また反対に、鬱の状態のときは、すっかり意気消沈して、「死にたい」などと悲観的な言動をするようになり、現実的に自殺してしまうケースもあります。

 治療としては、投薬を続けることになりますが、家族や友人、職場など、周囲の人の理解も大切になります。また、規則正しい生活をして気分の安定化を図り、カウンセラーによる患者さんに対する対処方法のアドバイスなども、必要になってきます。